杉沢村伝説 (すぎさわむらでんせつ)は、青森県に“あった”とされる村にまつわる都市伝説の一つ。
「かつて青森県内のとある山中に杉沢村という村があった。昭和初期のある頃、突然発狂した村の青年が村人全員を殺して自らも命を絶つ、という事件が起きた。村人がいなくなり機能を失った村は、隣村(=現青森市域とされる)に編入されて廃村となり地図からその名を抹消され、さらに県の公式文書からも杉沢村に関する記述は全て消去された。しかし、その後も廃墟となった家屋はそのまま存在し、悪霊の棲み家となっている。そこを訪れた者は二度と戻っては来られない。」という伝説である。
「杉沢村」の特徴としては、諸説あるが、概ね次のようなものがあるとされる。
* 入口に朽ちた鳥居がある。
* その根元にドクロのような石(岩?)がある。
* その近くに「ここから先へ入る者 命の保証はない」と書かれた看板がある。
* 鳥居を跨いで奥へ進んでゆくと廃墟と化したかつての住居があり、その内部では事件の惨劇を物語る血痕のようなものが多数見受けられるという。
この都市伝説は元々、青森県の一部のみで知られていたものである(ただし、信憑性は低い)。その後インターネット上で噂が広まり、2000年8月24日放送のフジテレビ系の番組『奇跡体験!アンビリバボー』の特番で取り上げられたことで全国的に有名になった。また、杉沢村を題材にしたビデオや漫画なども多数発売されている。
ところで、杉沢村という村(集落)が過去、青森県内に存在したことは確かである。ただし、正確にはその村は「杉沢」ではなく「小杉」(現在は青森市の市域となっている)という名前である。小杉は青森市郊外にある「小畑沢」という地区の小字で、
* 「小杉へ行く」という意味で地元民が「杉さ行く」と言っていたのがだんだん「杉沢」になった。
* 杉林の中を沢が流れていた。
など説は多々あるが、小杉地区を通称として「杉沢村」と呼んでいたのは事実らしく、また小畑沢地区は現在は廃集落となっている。しかしその村がなくなったのは、大量殺人などではなく過疎により定住者がゼロになったためである。実際、青森県内で過去(明治以降)に杉沢村事件(便宜上こう呼称する)のような大量殺人事件があったという記録はない(ちなみに最も犠牲者が多かった事件は、昭和28年(1953年)頃に発生した一家8人惨殺事件である)。またこの杉沢村事件が昭和13年(1938年)に岡山県で発生した津山事件に酷似していることから、最近では杉沢村伝説は津山事件が青森に飛び火して出来た、という説もある。
なお、この杉沢村事件が横溝正史の小説『八つ墓村』(の冒頭の「発端」で語られている事件)のモデルになった、と言われることがあるが、『八つ墓村』のモデルとなったのは前述の津山事件である。また、森村誠一の小説『野生の証明』の冒頭で描かれている「東北の“味沢村”村民を自衛隊員が皆殺しにする話」に関して杉沢村伝説との類似を指摘する人もいる。
ちなみに、青森県内には、青森市内(旧浪岡町)や南部町(旧福地村)、三戸町などに「杉沢」という集落・地名があるが、この「杉沢村」とは無関係である。
この話が前述の通り社会的に十分に流布した時期に、独自に杉沢村を調査・捜索する者(あるいは集団)が出現した。それらの多くは主に廃墟マニアや、肝試しを目的としたオカルトファン層だったとされる。ただしこの際に杉沢村を発見した、と主張する報告は伝説の解釈に強引な面が多々あり、信憑性は薄いものがほとんどである(また、この都市伝説には現地への道筋を示すキーワードが各種メディアから配信されていたが、いずれも抽象的であったりそれぞれ内容も異なるなど信用に足るものではない)。
余談ではあるが、一般的に最も広く知られている「杉沢村跡地」とされる場所は廃村ではなく個人の私有地である。
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都市伝説の世界にもっと入り込む(64)
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